Endless Summer

日記や本の感想など

A goodly apple that is rotten at the core

以前嘘をついた人間がまた嘘をついていた。一度裏切られた人にまた裏切られていた。分かった時のあっけなさ。人生に白けてしまった。「ああ、やっぱりそうなんだ」という乾いた失望感がある。悲しい。悲しいが、最初の時のようなショックはない。人の信頼は一度傷付けたらそう簡単には回復しない。許したとしても、心のどこかでは過去が古傷のように残るものだと思う。深い傷も二回目となればそう驚きもしない。最初に裏切られた時は血が煮えるような怒りが先に来たが、今回は冬の砂丘のような、ひたすら殺風景な心境。

The Good Soldierという小説にこんな一節がある。
“If for nine years I have possessed a goodly apple that is rotten at the core and discover its rottenness only in nine years and six months less four days, isn't it true to say that for nine years I possessed a goodly apple?”
「綺麗に見えても中が腐っている林檎を仮に9年間持っていたとしよう。9年半まであと4日、という時点まで腐っていることに気付かなかったとしたら、それまでの9年間は綺麗な林檎を持っていたということになるのではないだろうか?」知らぬが花、なんだろうか。何が正解なのか分からない。

結局、人は変わらないのだ。嘘つきは死ぬまで嘘つき。裏切り者は死ぬまで裏切り者。それが分かっていながら落ち込んでいる自分にも失望している。見切りをつけるしかないのに。そんな人間の近くにいても、いいことなんか何一つないはず。

ただただ全てが面倒。自分も他人もわずらわしい。この世から綺麗に消滅できるようなボタンがあったら喜んで押す。親を恨みはしないが、何で生んだんだろうと思う。生まれてこなければそれが一番良かったのに。人間に向いていない。生きたいやつらで勝手にやってくれ、巻き込まないでくれと言えたらよかった。