Endless Summer

日記や本の感想など

2023/10/30(日記)

寒くてよく眠れなかった。タオルケット1枚ではさすがに厳しい。何も考えず上着なしで外に出ると空気が冷たく、冬が近づいている。寒さの輪郭がくっきりとして、白いものがより白く見える。

半休を取って新居にバルサンを仕掛ける日。煙タイプは隣に迷惑がかかるらしいということでわざわざ休みを取った。平日なら誰もいないだろう。仕事を切り上げ新居に着いてからまずは部屋中の採寸を終えた。煙を出す前に警報器にカバーをかけようとしたら手が届かない。携帯できる脚立を買ったのに忘れてきてしまった。しばらく試行錯誤したものの警報器には全く届かない。結局ジャンプして養生テープをベタベタ貼り付け、カバーの代わりにした。空っぽの部屋で一人そんなことをしているとこの先の生活が不安になる。バルサンに点火してから部屋を出た。駅周辺を歩いてみると古い個人商店が多く、よく言えば下町っぽい、悪く言えばダサい雰囲気。スーパーはあるし駅には近いからとりあえず生活に困ることはないだろう。

夜は近所の居酒屋で食事をした。飲みながら自分の考えを伝えた。話し合いで妥協点を探すという形ではなくて、妻の要望を全て受け入れる形では継続が厳しいということ。二人で思い出を作っていきたいし、色んなことを共有したいこと。別居をして月に1回会うだけのような形を受け入れ、情に流されて続けたとして、5年後、10年後に後悔しない自信がないこと。病気があるとはいえ、二人のことだから自分の気持ちも大事にしたいこと、など。

特に難しいのは待たないでほしいと言われていることだ。良くなったら○○しよう、という期待が辛いらしい。その気持ちも分かるが、自分には当然そういう期待があるわけで、それがなくなるのは妻のことがどうでもよくなった時だけだと思う。強引にまとめれば、一人でいたい妻と、二人でいたい自分との違いが埋められなかったということになるだろうか。

話しながら妻の顔がだんだん曇っていくのを見ていた。全部を聞いた後、静かに頷いていた。つまり離婚、ということになるのだと思う。その後は明るくお酒を飲んで帰った。妻は妙に元気で、最後だから悪いムードにならないよう意識しているのがよく分かった。普段はこんな人じゃない。

夜まで荷造りを手伝ってくれ、粗大ゴミを山ほど捨てた。手配も日中に妻が大部分をやってくれた。思い切りよく物を捨てていくので悲しくなってしまった。自分が泣いている間もひたすら物を捨てていた。物のなくなった部屋はがらんとしていて、これから二人で暮らすのだったらいいのにと思った。妻は今日もソファで寝た。妻の枕がなくなったベッドがやけに広く感じられて心が冷えた。