Endless Summer

日記や本の感想など

2023/11/01(日記)

目が覚めて部屋を見回すと、たくさんあった妻のものが何も残っていない。心細い。都合が良いもので、人のものばかりあれば邪魔だと感じるし、自分のものしかなければ寂しいと感じる。物の力、空間の力はすごいと馬鹿なことを考えた。幽霊のお腹の中で暮らしているみたいだと寝ぼけた頭で思った。何か形見をもらっておけばよかった。

こうして心が痛むと、自分が決めた事は間違っていたのだろうかと思う。それでも一緒にいた時に心が裂かれるほど辛いことだってあった。2人でいても1人でいても心は傷つく。1度決めたことなのに、全然自信がないし、何度も考え直していて、ものすごく頭が悪くなったように感じる。情けなくてこの過程は絶対に人に話せない。他人が同じことをしていたら呆れている。しかも突然降ってわいた話ではなくて、何年も前からお互いに不満があって、こういう話がいつか来る事は予期していたはずなのに。いや、この状態がずっと続くと、無意識に思っていたのかもしれない。変わる時は何でも突然だ。「今日が最後の日であるかのように生きよ」と言う格言は全く正しい。

ベランダに置いている植木鉢も新居に持っていく。どれだけ自分が悲しくても彼らには水をやる必要がある。自分のためでなければ気分でサボるわけにいかない。そういう意味では、水やりや仕事が今の自分を人の形に留めていてくれているのかもしれない。何の義務もない立場であればずっと横になって悩んで泣いていただろうから。義務があると考えなくても行動が決まるから悩まなくて済む。動いているうちに1日を過ごせる。

家族って何なのかずっと考えている。自分は妻がいなくて寂しいのかそれともただ1人でいることが寂しいのか。1分1秒、自分の意思で今いる場所にいることを考える。何から何まで自分が望んだことの積み重ね。

社内報で年下の同僚が結婚したことを知る。自分の身に照らすとみじめな気持ちになるが、こんなことは毎日どこかで起こっていることだ。始まりがあれば終わりがある。しばらく内省の日々が続く。

妻がたまにAIに話しかけていると言っていた。そんなことするくらいなら俺にラインくれよと思ったが、そういう問題ではないのだろう。説得したところで意味がない。

会社で住所変更の申請をしたら総務に離婚したか聞かれた。離婚すると住宅手当が下がるらしい。聞きづらいことを息継ぎなしで一気に聞いてしまおうという勢いがある文章だった。離婚はしていませんと返した。昨日の別れ際、書類を出すまでは家族だからと言ったのを思い出した。

生まれて初めてカウンセリングを受けた。テーマは妻との関係について。事前にメールで状況を説明していたこともあってか、電話相談では思ったより現実的な助言をくれた。自分の主張をもっとした方がいいというのと、相手が何を考えているか理由をしっかり聞いて、そこから落とし所を探して行った方がいいとのこと。気遣って衝突を避けるよりぶつかってでも話した方がいいというようなことを言われ、身に覚えがある。分からない状態でモヤモヤしていることに悩んでいるように思えると言われた。それは確かにそう。アドバイスを受けてどういう風に話を持っていくか考えなくてはいけない。